騒音対策について

はじめに

騒音対策(防音)を行うには音の知識が不可欠です。
ここでは音の基本や単位、防音材の種類(制振、遮音、吸音、防振)について説明していきます。

音の基本

音は空気等を伝わる振動(波)による聴覚的な現象を指します。
波の周期を周波数と呼び、周波数が小さいと低い音、大きいと高い音に聞こえます。
人が音として聞き分けることができるのは、おおよそ20Hz~から20kHz(ヘルツ)までです。

年を取ると高い音は聞こえなくなってきます。(例えば40歳で15kHz以上が聞こえないなど)また、波の大きさ(振幅)が大きいと音が大きくなります。
人が聞き取れる最小の音の強さは20μPa(パスカル)、最大で100Paほどとなります。

「騒音」は「不快な、望ましくない音」で定義されます。主観的な要素を含むため対策をして物理的に静かになっても、人により満足度に差が出ることがあります。

音の基本

音の大きさの単位

人の感じる音の強さの範囲は、おおよそ10のマイナス12乗(W/m²)から10(W/m²)まで12桁もあり、さらに人の音への感覚は対数的です。そのため、デシベル(dB)という単位に変換して取り扱いを簡単にしてあります。

表を見ると、3dB違うと音の強さが2倍、10dB違うと10倍、20dB違うと100倍音の強さが違うことがわかります。

音の強さ(倍) 1 2 4 10 30 100 1000 10000
デシベル(dB) 0 3 6 10 15 20 30 40
音の強さ(倍) デシベル(dB)
1 0
2 3
4 6
10 10
30 15
100 20
1000 30
10000 40

【音の感じ方】

耳で聞く音の大きさの感覚的な感じ方は3dB上昇で1.3倍、5dB上昇で1.5倍、10dB上昇で2倍、20dBで4倍、30dBで8倍の大きさの音に感じるといわれています。

【距離による減衰】

機械など点音源の場合は、距離が2倍になると「6dB」小さく音の強さは1/4に、道路など線音源だと、距離が2倍になると「3dB」小さく音の強さは1/2になります。

騒音レベルとは

音の大きさは一般に音圧のデシベル表示の値で表されます。しかし、同じ音圧でも人間は周波数によって音の大きさの感覚が異なります。

普通は周波数4kHzでもっとも感度が高くなりそこから離れるに従って感度が悪くなっていきます。

計測した音圧レベルにこのような実際の人間の感覚補正をした値を騒音レベルと呼び、騒音・防音の評価に使用します。

騒音レベルの目安

騒音に対する人の感じ方は個人差がありますが、騒音レベル(dB)の数値とうるささの関係は、目安として下のような表で表すことができます。

    騒音
レベル
音の
程度
音の例
    110dB 聴力障害 飛行機のエンジン音、クラクション
    100dB 極めてうるさい 打上花火、ピアノ
    90dB   新幹線ホーム、ガード下
    80dB うるさい 地下鉄車内、雑踏
    70dB   掃除機、洗濯機、乗用車内
    60dB   会話、事務所、電話
    50dB   静かな事務所・住宅街
    40dB かなり静か 郊外の深夜、ささやき、木の葉の触れあい
    30dB   呼吸の音が聞こえる程度

騒音対策とは

音には空気中を伝わり耳に届く「空気伝播音」と固体中を振動で伝わって音に変わる「固体伝播音」があります。
騒音対策では「制振」「遮音」「吸音」「防振」を効果的に組み合わせて騒音を小さくしていきます。「空気伝播音」は「遮音・吸音」を、固定伝播音では「制振・防振」を用いて対策を行います。

【制振】

制振とは、鋼板などの物体に振動を減衰させる材料(制振材)を貼り付けて、振動を低減することをいいます。
(製品例:SR-2032, SR-2052N, SR-1532N, SR-6000AL, SR-1530等)

制振

【遮音】

遮音とは、物体の振動によって発生した音が外部にもれたり内部に入り込まないように遮断することをいいます。
(製品例:SR-1156, SR-4100, SR-1160, SR-1130, SR-1182等)

遮音

【吸音】

吸音とは、音の通路に音を吸収する材料(吸音材)をおき、音を反射させないことをいいます。
(製品例:SR-U2(ウレタン吸音フォーム)、フェルト等)

吸音

【防振】

防振とは、防振ゴム等により振動の伝達を出来るだけ少なくして、伝えないようにすることをいいます。
(製品例:加硫ゴム等)

防振

各防音材の特徴

【制振シート】

制振シートは固体伝播音が発生しやすい薄鋼板に対して制振効果が高く1000Hz以下の低~中周波数域の固定伝播音の低減に効果を発揮します。(固定伝播音が騒音にあまり寄与しない場合は効果は薄くなります。)
遮音の効果もあるため、遮音シートの兼務も可能です。
使用する場合は振動を抑制したい対象物に対して全面が密着するように貼りつける必要があります。
制振の性能は重量(マス)ではなく振動減衰の能力を表す「損失係数:η」で表します。
損失係数が大きいほど振動を減衰させる力が大きく、速やかに振動を減らします。

制振シート貼付け時の振動減衰イメージ(計算式、200Hz)
制振シート

【遮音シート】

遮音シートは吸音材が苦手な1000Hz以下の低~中周波数域までカバーできます。
ただし、面重量が性能に影響するため高性能な遮音シート程重くなる傾向にあります。
使用する場合は、遮音したい部分を隙間なく覆う必要があります。隙間があるとその部分の遮音が弱いためそこから騒音が漏れていってしまうためです。
遮音の性能は、空気中で音をどれだけ遮るかを示す「透過損失」で表します。
透過損失が大きいほど、遮音する力が強く音を通しにくくなります。

遮音シートの音響透過損失
遮音シート

【吸音材】

吸音材は主に1000Hz以上の空気伝播音の減衰に効果があります。
音は透過してしまうので筺体・壁や遮音シートなど遮音されるものとセットで使う必要があります。
吸音の性能は、どれだけ音が返ってこないかを示す「吸音率」で表されます。
吸音率が高いほど、音(空気の振動)が吸音材によって減衰されていることになります。

垂直入射吸音率測定結果【20㎜厚】
吸音材

このように、制振・遮音・吸音は、それぞれ単体ではカバーできる範囲が限られており複合して使われることも多いのです。

騒音対策イメージ図
騒音対策シート